みなさん、こんなストラップを見たことがあるでしょうか。きっと一度は見かけていると思います。
今は製造終了となっている、YAMAHAのSS-1というストラップです。
特に本体にSS-1という名前が書かれている訳ではなく、販売名称がそれなだけで、見た目にはどこにでもある普通のストラップにしか見えません。
しかし今これが4000円を平気で超えるほどの人気ストラップになっています。
(当時の販売価格は2000円ほどなので、倍値で取引されていることになります)
これはつい最近ヤフオクに出ていた際に5000円で落札された時のスクリーンショットです。
新品・美品だったので4000円は下らないだろうなぁと思っていたら5000円まで行きました。
1年ほど前までは新品でも4000円まで行けば競った方でしたが、今ではそれほどまでに欲している人が増えているのでしょう。
今なぜ人気なのか?
①名だたるプレイヤーが使用していたため
クラシック・ジャズ問わずに使用しているプレイヤーが非常に多かった為、サックスマニアには大概人気ですが、特にジャズプレイヤーの方に人気なのかと推測しています。
僕が今思いつく中でもマイケル・ブレッカー、伊東たけし、本田雅人など、珠玉の名プレイヤーが過去に使用していました。
むしろ10年~20年ほど前までならほぼすべてのプレイヤーが使用していたのでは・・・?という程、ほとんどのプレイヤーがこのストラップを使っていました。
今ではバードストラップやブレステイキング、ハーネスストラップなど高性能ストラップが跋扈しており、普通のSS-1のようなストラップは「首が痛い」と、使われなくなってしまうはずですが、
時代に逆行するようにこういった昔ながらのストラップを好む人が増えてきたのかもしれません。
こちらもどうぞ:
【2017年版】サックスストラップの比較!ブレステイキングとバードがやはり優勢。 - サクソホン練習帖2
②その高いデザイン性
昔から愛されてきたものには理由があります。
無駄なものを省き、衣服に干渉しすぎず、首を圧迫せず、そして首当ても付いている・・・といった条件を満たしているのがこのストラップだったのでしょう。
その機能美がこのストラップの魅力なのかなと思います。
同じ画像で恐縮です。
・黒に統一され、外部からは主張をしない
・ベルトが細身である
・フックが樹脂でありストラップリングを傷つけない(ビンテージサックスに有効)
・首当てが本革でクッション付きである
・ベルトの長さが短めであり、首元までスライダーを上げないことにより首が締まらない
現代に当てはめれば、バードストラップなどはほとんどこの条件をクリアーしています。
しかしバードストラップやブレステイキングではストラップの主張が激しすぎるのですね。
機能と引き換えに見た目のシンプルさを失うのは仕方ありません。
しかし、最低限の機能を備えつつも、洗練された機能美で彩られたSS-1は本当に美しいなと思います。
このベルトの細さとスライダーの位置を再現できるストラップはいまだにSS-1とレイハーマンのストラップしか現在していません。
レイハーマンは首当て(パッド)が全く無い点が異なります。
僕は今は中古で少し痛んだSS-1しか持っていませんが、いつか必ず美品のSS-1を手に入れたいですね。
後継種・SS-2のお話
実は、れっきとした後継ストラップも存在しています。
SS-2というストラップで、位置的には廉価版になります。
首のパッドの部分が合皮になり、外側に付きました(なぜ?)。
そして太さも太くなり、長さも長めになってソプラノ~バリトンまで全てカバーできるようになっています。
スライダーやフック部分はほぼSS-1と同一です。
最近ヤマハの楽器を購入したらこれが付属してくるのではないでしょうか?
僕も2年ほど前に購入し、使用していた時期がありました。
太さといい長さといい、全然SS-1では無いのですが・・・
無骨で値段も安く、1500円~2000円ほどで購入できます。
アルトでは少し長くて首元が締まるので、ソプラノorテナーでの使用をお薦めします。
どこでSS-1は買えるのか?
新しい楽器屋にはもうまず無いでしょう。
田舎にある古めの楽器屋さんか、オークションサイトで探すしかなさそうです。
美品で安くゲットできるならば、絶対に確保しておいた方が良いです。
2年後3年後には中古でも4000円で取引されるようになるかもしれませんね。
以上、ただのストラップがジャパンビンテージに成ってしまったSS-1のお話でした。
このストラップには確かに憑りつかれる魅力があるので、ぜひ手にしてコメントしてください。