昨今では、SNSなどでよくこんなつぶやきが見られます。
とりあえず吹き込め!1回死ぬほど息入れてみてからじゃねぇとpもfも勝手がわかんねぇからさ!
— 吹奏楽部のDQNな先輩サックスbot (@DQN_Sax_bot) 2017年3月7日
吹奏楽の演奏会やレッスンに行ったときに、どう考えても曲想に合わないはずなのに悪い奏法が一貫している子をたまに見ますが、本人や先生がSNSなどでこういった情報を得て実践しているというケースがままあります。
自分の性格や技術力や到達度、練習環境や曲などに合わない情報を正しく受け取れずに鵜呑みにした結果、上達の妨げになってしまっているのです。
また、「サックス こつ」などで調べた場合にも様々な情報が跋扈しています。
これら、上手くなる方法などが説明されているページは果たして信用していいのか?
現在僕は音楽大学の4年生ですが、高校生の時はネットでサックス情報を収集することが非常に多かったです。
本気でサックスを吹いている友達もいなかったし、音大を目指す友達も居なかったので調べるしかありませんでした。
そして本番を経たりレッスンを受けたり勉強をしていく上で、調べた情報が自分にプラスになった時と上達の妨げになった時がありました。
そんな、ネット情報の選別方法を経験を基に書きたいと思います。
※当記事はクラシック界の視点で執筆しています
情報発信者がプロなのか?アマチュアなのか?
これは最重要です。吹奏楽強豪校の生徒だったり、サックス歴20年とかであっても、専門教育を受けていたり講師の実績がなければ100%の信頼はできません。
その情報はその時のその人にとって適切だったものと考えるのが最良の解釈方法です。
逆に、自分も同じ状況で同じ症状に陥っていたら良い情報として受け取って良いでしょう。
例えば、以下のような情報があったとします。
某強豪吹奏楽部・サックスパート・1年生練習メニュー・アルトサックス
練習頻度:週6日、週1回合奏、1日2時間半
・マウスピースを吹く練習 5分間
・ロングトーン(4拍×全部の音)20分間
・スケール(B♭、メトロノームをつけて)30分間
・曲練習 残り時間
これを見て、見習って練習方法を変えようとした人がいるとします。(以下)
大学生・吹奏楽部サックスパート・3年生・バリトンサックス
練習時間:週3回、1日1時間、週1回合奏
・ロングトーン(4拍×全部の音)10分間
・曲練習 50分間
例として以上2名を挙げました。
後者の大学生は、前者の人を見て「曲練習の時間を削ってでもマウスピースを吹く練習とスケールはしなきゃな」と思ったとします。
果たしてそれは有効的でしょうか?
実際のところ、前者の人は、B♭のスケールだけを30分間しているのが特徴的ですが、良い練習をしているとは言えません。
また、マウスピースを吹く練習はサックスではあまり意味がないとされていますが、この人が楽器を初めて間もない人であれば効果があるかもしれません。
なので、後者の大学生が前者の高校生の練習をそのまま真似してもあまり良くならないでしょう。
情報の受け取り方は本当に人それぞれです。
自分にとっては不要なのに、「やらなきゃダメだな」と思って実践した結果、時間の無駄だったり、唇の疲労を助長している原因になる場合があります。
当たり障りの無いこと以外は疑ってかかりましょう。
では情報発信者がプロ奏者だった場合はどうでしょう?
プロ奏者の場合は、自分と同じレベルの人達に向けて発信していることがあります。
また自分の生徒たちで共通していることを発信していることも多いでしょう。
そういった場合で、例えば「フラジオ奏法は舌のコントロールが全て」などと書いていたとしましょう。
その内容にもよりますが、実はある程度高い技術に到達しているという前提を端折っているという場合があります。
この場合に情報を鵜呑みにした場合、むしろ成長を妨げたり、できない・難しいという固定概念が生まれたりします。
このフラジオ奏法(サックスの高音域を出す方法)の例でいえば、知りたいことが「フラジオの出し方」なのに、発信者は「ある程度オーバートーンが出来る前提でのフラジオのコントロールの話」をしている・・・等です。
自分の熟練度というフィルターを通した上で情報を得ることが大事です。
僕が高校の時はといえば、ミストなサックスさんを良く見ていました。
無償でたくさんの情報が掲載されているので当時よく読んでいましたが、今現在といえばあまり記憶に残っていません。
やはりプロとアマチュアでは違うので、ほとんどの情報がサックスの先生にレッスンを受けたことによって上書きされてしまったように思います。
しかし自己啓発になるような内容が多かったので、当時は練習モチベーションの向上の為に見て良かったと思います。
あと2ch(2ちゃんねるやそのまとめサイト)での匿名情報はすべて信用しなくていいです。
こっちのメーカー(楽器・マウスピースなど)がいいよ系
サックスは楽器やセッティングによって音色が異なり、演奏ジャンルや奏法の上達度も大きく関係します。
自分に合わないセッティングをしていたり吹きにくい楽器を吹いていたら、どれだけ練習しても上手くなりません。
悪いセッティングに合わせた吹き方を体が覚えるようになります。
学校の楽器であれば変更はできないので、その楽器と自分に合ったマウスピースを使わなければいけません。
しかしまず言えることがあります。
クラシック用の楽器にジャズ用のリードやマウスピースやリガチャーはやめましょう。
いくらオススメされたからといって、ジャンルに合わないセッティングは何もいいことがありません。
クラシックサックス用のマウスピースやリードは限られているため、そもそもあまり選択しがありません。
個性を出したいからといって変わったセッティングをするのは上達の遠回りになります。
マウスピースはセルマーならS90、S80、Concept、バンドレンならV5、オプティマムシリーズなど。
リードはバンドレンなら青箱・銀箱・V21、リコならグランドコンサートやレゼルヴなど・・・
9割の方はこれらか、楽器付属のものを使っているのではないでしょうか。
郷に入っては郷に従え、とは言ったもので、習っている先生がいればその方の通りにするか、上記のクラシックアクセサリの中から選ぶのが無難だと思います。
どこで情報を得ればいいのか?
やはり、習っているならばサックスの先生に聞くのが一番です。
生徒さんから質問や相談をされて答えない先生はそうそういません。
逆に、ちょっとサックスが吹ける程度の人に聞くのはまず良くないでしょう。
全くどの先生にも就いていない人は、どの情報を得ても身になるといえばなりますが、
客観的評価が良くなる可能性は低いです。
仲間内だけで吹いて褒められていたらいいという人は別ですが、上手くなりたい人はレッスンを受けましょう。
まとめ
・「こうしたら上手くなった」などの情報はその時のその人にとって適切だったもの
・セッティングや身体能力、練習時間によってそれぞれ要する練習方法が大きく異なる
・楽器のセッティングは変なものにしない
・正しい情報はサックスの先生に相談して訊く
それでは。